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高額療養費制度とは?申請方法や計算方法を詳しい例題付きで徹底解説


多汗症治療の手術費が15万円したり、異なる症状の合算治療費が月々30万円もするような問題が生じると大変です。このような高額医療費を支払う際の救済措置が『高額療養費制度』ですが、申請方法や計算方法が難解です。そこで今回は「高額療養費制度の申請方法や計算方法」についてお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。

高額療養費制度とは?

『高額療養費制度』とは、支払い者が医療機関で支払う金額に「1ヶ月間の上限(自己負担限度額)」を設けて、全体治療費から保険適用分とさらに上限分も医療費控除することで、1ヶ月あたりの家計の負担を減らす制度です。

またこの場合、医療保険が適用される必要があり、例えば病院内のコンビニで買ったお昼ご飯やジュースは含まれません。詳しくは後述しますが、上限(自己負担限度額)は支払い者の年齢や収入(所得区分)によって計算方法が決まっています

この時点で(ん?クレジットカードみたいに治療費を分割しただけじゃないの・・・?)、と思う方がいるかもしれませんが、高額療養費制度は医療保険の制度の一つとして適用される医療費控除制度です。簡単に言うと、病院の窓口で払うお金が安くなって助かる制度です。

ちなみに人によっては『高額医療費制度』という名称で覚えているかもしれません。しかし、厚生労働省や保険者(健康保険組合・全国健康保険協会)などが正式に『高額療養費制度』と指定しています。

私も最初は間違って覚えてましたので気持ちはわからなくはないのですが、間違いは間違いです。(こうがくりょうようひせいど、こうがくりょうようひせいど、こうがくりょうようひせいど・・・)、と最低3回は口にして正しく覚えてください。

  • 高額療養費制度とは高額な治療費救済措置のこと
  • 医療費控除が行なわれるのは保険適用された治療費のみ
  • 自己負担限度額は年齢や収入(所得区分)によって計算される
  • 支払う治療費=(全体治療費✕医療保険適用3割)-高額療養費制度
  • 高額医療費制度は間違った言葉

病院の現役事務員は高額療養費制度に詳しくない!?


私の知り合いに病院の事務員をしている子がいるのですが、この記事を書くにあたって事務員が実際にどうやって手続きをしているのかいくつか質問をしました。彼女からの返信内容は、事務員の中でも高額療養費制度を担当する部署が分かれているようで、担当以外の事務員だと高額療養費制度に詳しくないそうです。

当然事務員でも病院の中は移動するので、しばしば来院している患者さんたちに呼び止められて高額療養費制度のことを質問されるそうですが、彼女もわからないのですぐに担当部署に案内しているみたいです。というわけで、みなさんもあまり事務員さんに難しい質問をするのは控えましょう。

標準報酬月額による所得区分(現役並み所得・一般所得・低所得)とは?

みなさんは平均して毎月どのくらい収入を得ていますか?先程もお伝えしました通り、上限(自己負担限度額)を決める上で収入(所得区分)が重要な要素となります。保険や年金制度を受けるにあたって、必ずご自身の所得区分の理解は必須です。

標準報酬月額とは?

企業など事業主は、従業員を雇用する時に就業規則や労働規則を企業内外に説明しなければなりません。

例えば会社員の場合は、基本給+手当(役職、残業、休日出勤、インセンティブなど)+交通費などで毎月所得が決まっており、これを『報酬月額』といいます。導き出された報酬月額には等級ランクが適用されて、保険者なら1等級~31等級、年金機構なら1等級~50等級というランクになります。

この時注意することは年3回以下のボーナスや賞与、見舞金など臨時収入は含めないことです。事業主はこの報酬月額の決め方を保険者や年金機構などにも定期的に提出します。100%の事業主ではありませんが、原則7月になる前の3か月(4月、5月、6月)内に支払われた報酬月額を基にして、標準報酬月額を導き出します。

例えば4月分(4/1~4/30)の給料が5月初旬に入るとすると、6月分(6/1~6/30)は7月初旬に支払われます。この場合7月を超えてしまうため、3月、4月、5月に働いた分の給料を報酬月額として扱うことになります。仮に報酬月額30万円とすると、

(計算)
標準報酬月額=(30万円+30万円+30万円)/3ヶ月=30万円

例外があるとすれば、3ヶ月間のうち入院などで出勤日数が17日間を下回った月がある場合です。例えば3月と4月は無事に出勤したけど、5月にバイクで轢かれてしまい出勤日数が3日間のみで、6月に入ってきた報酬月額が3万円だけだとすると、3月と4月分だけで判断することになります。

(計算)
標準報酬月額=(30万円+30万円)/2ヶ月=30万円

となります。

所得区分(現役並み所得・一般所得・低所得・区分)

70歳以上の被保険者の所得区分は『現役並み所得』『一般所得』『低所得』の3つに新しく大別されます。低所得とは非課税者のことで、一般所得は現役並み所得と低所得の間です。これまで現役並み所得は1種類だけでしたが、2018年8月に改訂された新しい区分では、『現役並み所得Ⅰ』『現役並み所得Ⅱ』『現役並み所得Ⅲ』3種類に増えました。

3種類の現役並み所得に共通するのは、高齢受給者証が3割適用であることです。また、『現役並み所得Ⅰ』は標準報酬月額が28万円~50万円、『現役並み所得Ⅱ』は53万円~79万円、『現役並み所得Ⅲ』は83万円以上となります。

2015年1月より70歳未満の被保険者の所得区分は『区分ア(83万円以上)』『区分イ(53万円~79万円)』『区分ウ(28万円~50万円)』『区分エ(26万円以下)』『区分オ(低所得/非課税)』の5つに分類されましたが、詳しくは後述する計算方法の項目で説明します。

  • 原則、標準報酬月額は3か月(4月、5月、6月)の平均報酬月額のこと
  • 70歳以上の標準報酬月額による3つの所得区分(現役並み所得・一般所得・低所得)
  • 2018年8月より現役並み所得が3種類(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)に細分化
  • 70歳未満の標準報酬月額による5つの所得区分(ア・イ・ウ・エ・オ)

保険者と被保険者・被扶養者の違い

高額医療費制度を受けるにあたって、保険者(ほけんしゃ)と被保険者(ひほけんしゃ)・被扶養者(ひふようしゃ)の違いを理解しておきましょう。

保険者は保険金を払う義務を負う側で、健康保険組合(組合)や全国健康保険協会(協会けんぽ)のことです。被保険者は保険金を受ける(被る)側で、保険に加入する側のことです。被扶養者は被保険者に扶養される側で、子供や孫などです。

日本に住んでいれば、おそらくほとんどの大人が被保険者で、子供が被扶養者になっていると思います。病院を利用すると3割負担で済むのも保険に入るメリットですが、逆にそれしか知らないことはありませんか?高額医療費制度も保険のサービスの一つですが、実は多くの日本人は知らない、もしくは聞いたことはあるけど難しそうでわからない方が少なくありません。

実際に「被保険者や被扶養者の権利を知らず、無駄に治療費を何十万円も払っている」日本人は少なからずいますし、保険者側は高額医療費制度を使われると損をするので、被保険者や被扶養者側から尋ねない限りは積極的に教えることはしません。このような馬鹿げた事態を避けるためにも、高額医療費制度の2つの申請方法について知りましょう。

  • 保険者は健康保険組合(組合)と全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 高額医療費制度は医療保険の権利である
  • 被保険者や被扶養者は高額医療費制度の存在を知らないことが多い
  • 保険者も損をするので、聞かない限り高額医療費制度についてあまり教えてくれない

高額療養費制度の2つの申請方法

高額療養費制度を受けるためには『限度額適用認定証』と保険証の2つが必要となります。限度額適用認定証は、1ヶ月間の上限(自己負担限度額)を保険者が正式に認めた証明書となります。

よく勘違いをして病院側を困らせる方がいますが、高額療養費制度は病院側の権利ではありませんので、いくら病院の窓口で限度額適用認定証をお願いしても発行は無理です。したがって、限度額適用認定証を発行してもらうためには、あなたが自ら保険者に申請をする必要があります。下記に限度額適用認定証の2つの申請方法を記載します。

申請方法1/限度額適用認定証の事前取得

病院で利用を受ける前に、事前に保険者に限度額適用認定証を申請して取得する方法です。事前に取得する最大のメリットは、病院の窓口で支払う治療費が最初から1ヶ月の上限分で済むことです。したがって、もし私が高額な多汗症治療の手術を決行しようとするならば、必ず保険者に申請して事前に限度額適用認定証を手に入れます。

申請方法2/限度額適用認定証の事後取得

病院で治療を受けた後、事後的に保険者に限度額適用認定証を申請して取得する方法です。事前申請と事後申請で、結果として払う金額はまったく同じなので1円も損はしません。しかし、私には治療後に取得するメリットは一つも見つかりません(むしろデメリットしかないのでは?・・・)。

なぜなら、病院の窓口で支払う治療費は医療費控除されない金額となり、通常2ヶ月~4ヶ月後になって保険者から支払われることになるからです。例えば事前申請をしていれば最初から8万円の支払いで済んでいたのに、事後申請の場合は最初に15万円を支払います。

その後3ヶ月後に差額7万円が戻ってくるとしても、最初に8万円を用意するのと15万円では、資金繰りに影響が出てきます。また、1回の治療ではなく2ヶ月間続くものと考えると、事前申請では16万円、事後申請ではその1.9倍である30万円を手元に用意する必要があります。

このように申請を事前にするか事後にするかだけでも、手持ちの費用が大きく変わってくるので、やはり事前申請のメリットが大きいと思います。とはいえ、ほとんどの方が高額療養費制度の存在さえ知らないので、結局事後申請のケースが多くなっています。

  • 高額療養費制度は事前申請と事後申請ができる
  • 限度額適用認定証があれば上限(自己負担限度額)が認められる
  • 限度額適用認定証の事前取得するとメリットが多い

限度額適用認定申請書の書き方・本人確認書類

保険者に提出するものは、一般的に限度額適用認定申請書と本人確認書類添付台紙になります。ここでは全国健康保険協会を例にとってみます。

【資料引用】全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r121/

手続に必要なものをまとめると、

  • 限度額適用認定申請書
  • ★本人確認書類1(マイナンバーのコピー)
  • 本人確認書類2(個人番号通知のコピー、住民票、住民票記載事項証明書)
  • 本人確認書類3(運転免許証のコピー、パスポートのコピーなど)
  • 本人確認書類添付台紙

まず、全国健康保険協会のHPにアクセスして、限度額適用認定申請書を記入します。記入方法は、一旦印刷して手書きで記入する場合と、インターネット上でキーボード入力をしてから印刷する2通りの方法があります。

(1枚目)

(2枚目)

申請書が記入できたら、次は本人確認書類を準備して添付台紙に貼っていきます。

(マイナンバー)

★本人確認書類1(マイナンバーのコピー)があれば、基本的には個人番号も身元確認もできるので他の本人確認書類は不要です。

マイナンバーをまだ所持していない方は、個人番号がわかる本人確認書類2(個人番号通知のコピー、住民票、住民票記載事項証明書)から一つ、身元確認ができる本人確認書類3(運転免許証のコピー、パスポートのコピーなど)から一つ、計2点の本人確認書類が必要となります。

個人番号通知はマイナンバーではないので注意してください。コピーする時はカラーじゃなくてもモノクロで大丈夫です。私みたいに面倒くさがりな方は、マイナンバーを所持していればそれだけでいいのでコピーを添付台紙に貼ってしまいましょう。

全国健康保険協会を例に取りましたが、基本的な流れはどこの保険者も似たようなものです。ただ、あなたが加入している保険者によって、手続方法が若干異なる場合がありますので、必ず保険者に確認を取りましょう。提出して1週間~2週間程度すれば審査が通るので、そこで限度額適用認定証が発行されます。

  • 限度額適用認定申請書と本人確認書類添付台紙を提出する
  • 本人確認書類を中でマイナンバーが最も簡単
  • 保険者ごとで手続きが異なる場合があるので確認を取る
  • 提出後1週間~2週間程度で限度額適用認定証が発行される

有効期限切れの時の再申請や返却方法

保険証の更新のように、限度額適用認定証にも当然有効期限が設定されています。しかも長くて1年間しかありませんので、例えば入院が長引いてしまって気づけば有効期限切れになっていて、保険者から返却請求の電話がかかってくる、というケースも頻繁に起こっています。電話がかかって来た時に焦らないためにも、しっかり理解しましょう。

所得区分による有効期限の決め方

有効期限は被保険者の所得区分(現役並み所得・一般所得・低所得)によって変わってきます。所得区分が現役並み所得や一般所得の方は、申請した月の1日から最長で1年間の有効期限となります。

(例)現役並み所得 2017/7/25に申請
最長の有効期限=2017/7/1~2018/6/30

どうせなら、なるべく長い期間を希望したいと思うのですが、保険者に治療にかかる期間内で指定されることがあるので、有効期間に関しては要相談となります。

一方で、所得区分が低所得の方は、申請した月の1日から次の7/31までの有効期限となります。

(例)低所得 2017/6/25に申請
有効期限=2017/6/1~2017/7/31

どうせなら、なるべく長い期間を希望したいと思うのですが、保険者に治療にかかる期間内で指定されることがあるので、有効期間に関しては要相談となります。

7/31までの理由は、前述したように原則7月が標準報酬月額の基準だからです。そのまま継続したい方は8月に再申請をしなければなりません。この例からわかるように、申請月によっては1ヶ月しか有効期限がない場合もありますので、低所得の方は要注意です。

再申請や期限延長の方法

再申請や期限延長をしたい方は加入している保険者にご相談ください。安心してほしいことは有効期限が切れていたとしても、再申請すれば後から医療費控除がされます。再申請のポイントは、日頃から治療費の領収書など証拠を残していると、保険者の再審査も通りやすくなります。領収書は捨てずに保管しておきましょう。

返却方法

有効期限が切れると、保険者から限度額適用認定証の返却請求の連絡が来ます。加えてリストラなどで職を失い被保険者としていられなくなったり、子供が親の被扶養者でなくなった時なども返却する必要があります。

直接持っていけば、再申請もその場で行なえて都合がいいですが、入院患者や骨折をしてなかなか出歩けない患者などの場合は、封筒に入れて郵送することもできるので担当医に外出許可をもらうか、看護師さんにお願いしてポストに投函してもらいましょう。返却方法に迷わないためにも限度額適用認定証を取得した際に、必ず保険者に返却方法まで確認するようにしましょう。

  • 限度額適用認定証の有効期限は所得区分によって異なる
  • 有効期限が切れたら、再申請をして期限を延長するか保険者に返却する
  • 有効期限が切れていても、後から再申請をすれば医療費控除される
  • 治療にかかる領収書は保管するといい
  • 入院患者の場合は郵送でも返却可能

高額療養費制度の対象外となる場合

高額療養費制度が使えない場合についてお伝えします。かなり多くの方が勘違いをされていますし、後々の自己負担限度額の例題にも関わってくるのでしっかり押さえていきましょう。

対象外1/保険適用外の費用(先進医療・差額ベッド・飲食など)

高額療養費制度はあくまでも医療保険のサービスですので、前提として保険が適用されない費用には一切使えません。

対象外2/月をまたいだ治療費(レセプトによる月毎の計算)

自己負担限度額とは1ヶ月間の上限です。みなさんがかなり間違うのが1ヶ月間の定義で、月の初日から月末であり、治療開始から終了までの期間ではありません。例えば、4/25~5/3まで交通事故で入院したとします。入院期間は月にまたがっていますので、治療費は4月分と5月分になりますが、合算ではなく月毎の計算となります。

当然4月分の治療費は高いのですが、5月分は3日間しかありませんので、1ヶ月間の上限にあたらない可能性があります。このような治療費を計算する時に病院や薬局などが発行する患者の記録を『レセプト』といいます。簡単にいうと、レセプトは各医療機関が発行する患者ごとの家計簿です。

対象外3/異なる医療機関のレセプト

レセプトは各医療機関が独自に発行する証明書ですので、原則異なる医療機関は管轄外となります。例えば4月にA病院で骨折手術20万円、BクリニックでETS手術10万円、C薬局で2万円の処方代があっても、原則合算されません。ただし例外があり、2万1,000円以上の治療費がかかっている場合(A病院とBクリニック)は保険者が認めてくれることがあるので、保険者と要相談です。

対象外4/異なる保険に加入している場合

異なる医療機関でも2万1,000円以上の治療費の場合は合算できたのと同様に、同じ保険に加入している家族間において2万1,000円以上の治療費がかかる場合も合算可能です。これを『世帯合算』といいます。ただし、あまり少ないとは思いますが、一世帯で異なる保険に加入している場合は世帯合算ができません。

対象外5/同一医療機関内での医科と歯科、入院と通院(外来)

総合病院で多いケースですが、同じ医療機関だとしても医科と歯科は異なる医療機関扱いで、治療費は区別します。また同様に入院と外来(通院)も治療費は区別するルールがあります。

対象外6/異なる医療機関の処方箋と同一薬局

複数の異なる病院で診察を受けて薬の処方箋をもらい、近くの同じ薬局で処方を受ける場合です。薬局で治療費を合算することができるのは、一つの病院の処方箋で一つの薬局で処方を受ける場合です。

  • 高額療養費制度は医療保険が適用される治療費を扱う
  • 月をまたいだ治療費は合算されない
  • 異なる医療機関も原則合算されない
  • 世帯合算は異なる保険加入だと合算されない
  • 同一医療機関でも歯科と医科、入院と通院は合算しない
  • 薬局での処方は同一医療機関のみ
  • 例外は2万1,000を超える治療費

1ヶ月間の自己負担限度額の計算方法

ではここからはどのような計算方法で1ヶ月間の自己負担限度額が算出されるのかお伝えしていきます。計算方法のポイントは年齢(70歳未満か70歳以上か)・所得区分・+α(多数該当、同じ医療機関か、入院か外来かなど)によって変わってきます。

70歳未満/区分(ア・イ・ウ・エ・オ)の計算方法

70歳未満の計算方法は2015年1月に決まった方法が採用されています。そのため、2018年8月の改訂では何ら影響はありません。

  • 区分ア:25万2,600円+(総治療費-84万2,000円)✕1%/多数該当14万100円
  • 区分イ:16万7,400円+(総治療費-55万8,000円)✕1%/多数該当9万3,000円
  • ★区分ウ:8万100円+(総治療費-26万7,000円)✕1%/多数該当4万4,400円
  • 区分エ:5万7,600円/多数該当4万4,400円
  • 区分オ(低所得):3万5,400円/多数該当2万4,600円

70歳未満の方の多くは『★区分ウ(標準報酬月額28万円~50万円)』に該当すると思うので、押さえるべきポイントです。この計算方法は2015年1月から継続して使われているものです。『多数該当』とは、有効期限内においける4回目の高額療養費制度の利用ということです。

(例)2018年1月、3月、4月に高額療養費制度を利用、6月に事故を起こして入院
自己負担限度額=多数該当4万4,400円

70歳以上/現役並み(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)の計算方法

70歳以上の一般所得と低所得に関しては自己負担限度額が固定されているので、ややこしいのは現役並みです。この計算方法は2018年8月に改訂された最新のものです。

(正直なところ、改訂される度に国の高齢者への風当たりが強くなっています。2017年8月以前はもっと安く済んでいました。誰も何も言わない制度は国の都合がいいように変更されてしまいますね・・・)

  • 現役並みⅢ:25万2,600円+(総治療費-84万2,000円)✕1%/多数該当14万100円
  • 現役並みⅡ:16万7,400円+(総治療費-55万8,000円)✕1%/多数該当9万3,000円
  • ★現役並みⅠ:8万100円+(総治療費-26万7,000円)✕1%/多数該当4万4,400円

70歳以上の方の多くは『★現役並みⅠ(標準報酬月額28万円~50万円)』に該当すると思うので、押さえるべきポイントです。

自己負担限度額の詳しい8例題

ということで、具体的に「70歳未満✕区分ウ」と「70歳以上✕現役並みⅠ」について8つの例題を見ていきましょう。(数問は医療費控除が受けられない例題も入れています。)

例題1/23歳、区分ウ、総治療費100万円

(計算式)
自己負担限度額=8万100円+(100万円-26万7,000円)✕1%=7万2,770円

保険適用の3割負担だけだと30万円払わないといけませんが、この場合は7万2,770円だけを病院の窓口で支払えばいいだけです。(20万円も安くなる!)

例題2/69歳、区分ウ、総治療費100万円、1年以内に5回目

(計算式)
自己負担限度額=4万4,400円(多数該当)

5回目ということで自己負担限度額は多数該当となります。

例題3/40歳、区分ウ、総治療費30万円(4月28万5,000円、5月1万5,000円)

(計算式)
自己負担限度額=8万100円+(28万5,000円-26万7,000円)✕1%=6万2,100円

月をまたいだものは合算をしません(対象外2)。また5月は2万1,000円を超えていないため、この場合は4月分のみが適用されます。

例題4/40歳、区分ウ、総治療費4万円(A病院1万5,000円、B病院1万9,000円、Cクリニック6,000円)

(計算式)
自己負担限度額=0円

異なる医療機関は合算をしません(対象外3)。さらにどの医療機関でも2万1,000円を超えていないため、この場合は高額療養費制度を使用できません。

例題5/40歳の夫婦と14歳の息子、区分ウ、総治療費19万円(主人10万円、奥さん7万3,000円、息子1万7,000円)、世帯で同じ保険加入

(計算式)
自己負担限度額=8万100円+(17万3,000円-26万7,000円)✕1%=7万9,160円

原則レセプトは個人の治療費ですが、同じ保険に加入している生計を共にする世帯であり、かつ主人と奥さんは2万1,000円を超えているので世帯合算のルールが適用されます(対象外4)。

例題6/48歳、区分ウ、総治療費23万円(先進医療20万円、ベッド台2万円、飲食1万円)

(計算式)
自己負担限度額=0円

すべて保険適用外なので全額実費です(対象外1)。

例題7/68歳、区分ウ、総治療費3万円(同一病院の医科2万円、歯科1万円)

(計算式)
自己負担限度額=8万100円+(2万円-26万7,000円)✕1%=7万7,630円

同一病院でも医科と歯科のレセプトは別物と扱います(対象外5)。

例題8/74歳、現役並みⅠ、総治療費8万円(医科3万円、入院5万円)、1年以内に2回目

(計算式)
自己負担限度額=8万100円+(8万円-26万7,000円)✕1%=7万8,230円

1年以内に2回目ですので、4回目にならない限り多数該当外です。今回の場合は計算式に当てはめて自己負担限度額を算出します。

例題のようにして保険者は自己負担限度額を算出していますので、みなさんもご自身の状況に照らし合わせて考えてみてください。ご自身で導き出した金額と、保険者から言われた金額にズレがある場合は、保険者が計算をミスをしている可能性もあります。

まとめ

今回は「高額療養費制度の申請方法や計算方法」についてお伝えしてきました。

  • 高額療養費制度は1ヶ月単位で治療費の負担を減らす制度
  • 医療機関ではなく保険者が実施する医療保険の制度
  • 事後申請より事前申請の方が最初の準備金の負担を減らせる
  • 有効期限や対象外となるケースを把握する
  • 治療費が2万1,000円を超える場合は保険者と要相談
  • 2018年8月から70歳以上の方に厳しい制度となった
  • 自己負担限度額を計算して、ご自身のお金を守ろう

高額療養費制度は知らない方も多いのですが、制度の原則に加えて例外も多く、さらに月日を経るに連れて内容もよく変わっていきます。レセプトも昔は個人単位ではなく外来でも診療科単位でした。

またごく稀にですが、2018年8月に制度が改訂されたばかりなので、保険者側が古いルールで計算をしてしまい、自己負担限度額の計算ミスをしている報告も挙がっています。常に情報は新しく更新をしましょう。

今回のテーマ内容はかなり難しかったと思いますので、何度も見直して少しずつでも頭に入れてください。できれば人に説明できるまで学んでください。高校生の方でも、ETS手術やボトックス注射など医療保険が適用される多汗症治療にも制度は使えるので、しっかりご自身のお金を守りましょう。

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はじめまして。当サイトを運営しているまっきーです。

(自称)多汗症コンサルタントとして150名以上のコンサルタント経験を持ちます。

10年以上にのぼる医学知識と検証をもとに、汗と臭いの悩みを解決する情報を発信していきます。

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