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ボトックス注射は多汗症に効くの?厚生労働省認可で保険適用可能


「脇の手術するとよく後遺症があるって聞いてます。なので手術じゃなくボトックス注射をしたいんですが、実際に多汗症に効くんでしょうか?」「ボトックス注射って保険も適用されるか怪しいし、治療費高い割にずっと汗が止まるわけではないから無駄だと思います。」、など実は多汗症治療で有名なボトックス注射に対してのイメージは悪いのが現実です。

一体なぜボトックス注射は悪評がついて回るのでしょうか?今回は「多汗症治療におけるボトックス注射の誤解と真実」についてお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。

多汗症とは?

よく「汗かき=多汗症」と誤解している方は大勢いますが、その100%の方が多汗症ではありません。そのため、ボトックス注射を理解する前に、前提として「多汗症」とはそもそも何なのかお伝えします。

多汗症とは、脇、手のひら、足の裏、顔や頭部などに異常に発汗する病気・体質のことです。多汗症を抱えて悩む人は、日本の人口の3~4%といわれています。

現代医学でも多汗症のすべての原因は未だ解明されていませんが、解明されている原因のうち主なものは、「精神的な緊張やストレスで自立神経バランスの崩れ、交感神経から出されるアセチルコリンの異常分泌による精神性発汗」「辛さなどを熱さと捉える味覚性発汗」といわれています。

人間の発汗機能は本来は体温の調節になりますが、体温の調節とは一切関係なく何らかのストレスなどで発汗してしまうように、「多汗症=歴とした病気・体質」です。しかし、2018年現在においても多くの方が「多汗症=ただの汗かき」という誤った知識しか持ち合わさないために、多汗症を抱える方の悩みは非常に理解されにくいものとなっています。

ボトックス注射とは?


ボトックス注射とは、A型ボツリヌストキシン(A型ボツリヌス毒素)のタンパク質+血清アルブミン+塩化ナトリウムを混ぜ合わせた薬剤を注射して、発汗時に交感神経から分泌されるアセチルコリンの量を減らす多汗症の治療方法です。主に脇の多汗症と手の多汗症に対して治療されますが、後述する理由のため脇の多汗症に限るともいえます。

A型ボツリヌストキシン自体は人体へ悪影響を与えるもので、症状としては体の痙攣・嘔吐・視力低下・自律神経障害・最悪の場合は死亡など非常に危険な毒素となりますが、あくまでもそのタンパク質を抽出しているため人体への危険性は皆無です。

ボトックス注射の歴史/FDAと厚生労働省が認可・補償

そもそも誰がいつA型ボツリヌストキシンを用いてボトックス注射治療を開発したのでしょうか?ボトックス注射を開発したのはAllergan(アラガン)社で本部はアイルランドにあり、アイケア・神経科・皮膚科・美容医療・形成外科・乳腺外科・泌尿器・消化器科・婦人科など他分野での製品を世界中に展開する企業です。

グローバル展開をするために世界中の国々に子会社を設立していきましたが、2002年にはFDA(アメリカ食品医薬品局)といわれる極めて審査が通りにくいアメリカ政府機関からボトックス注射の認可を受けることに成功しました。今でもアメリカのAllergan社は世界中のトップシェアを占めています。

では日本ではどうなのかというと、2002年にアメリカでFDAの認可が降りた7年後の2009年に日本の厚生労働省が表情シワのボトックス注射を認可しました(厳密には眼瞼痙攣・片側顔面麻痺・痙性斜頸・表情シワの各認可で年代が異なります)。

2018年現在ではアメリカ、日本、その他およそ90カ国ともにボトックス注射の安全性と効果を国・政府として認める、つまり「ボトックス注射=医療行為」だと定められました。

ボトックス注射のメリット

では具体的にボトックス注射にはどのようなメリットがあるのか下記に4つ記載します。

メリット1/世界トップレベルの安全性

上記でお伝えしましたが、世界で最も厳しい医療基準をクリアしているのがボトックス注射治療となります。あまり他の多汗症治療においては、いくら病院やクリニックが実施しているとはいえ世界中の国・政府レベルで補償をしているものはほぼ存在しません。そのため、認可されたボトックス注射の安全性は非常に優れているといえます。

メリット2/代償性発汗の心配がない

「手術すると代償性発汗が起こる」とされるのは交感神経(Th3,Th4)を切除するETS手術です。ボトックス注射はあくまでも交感神経に働きかけて一時的にアセチルコリンの分泌量を抑制する治療法のため、副作用や代償性発汗の心配は存在しません。

メリット3/傷跡が残らない

ボトックス注射はメスで皮膚を切る治療法ではないため、傷跡が残る心配は存在しません。

メリット4/再治療までの間隔が断トツ


ボトックス注射をして数日経つと効果が出てきます。その後個人差はありますがおよそ4ヶ月間~6ヶ月間はアセチルコリンの分泌が抑制され続けます。

もしかしたらあなたは「え、でも結局はずっとじゃないんでしょ。また注射しないとダメじゃん。」と思うかもしれませんが、上記の画像をご覧頂ければ、各治療方法の中で断トツでボトックス注射の再治療までの間隔が長いことがわかるはずです。

ボトックス注射のデメリット

一方で具体的にボトックス注射にはどのようなデメリットがあるのか下記に3つ記載します。

デメリット1/注射の痛みは我慢

ボトックス注射も注射のため、注射が苦手な方は抵抗があると思います。

デメリット2/筋肉の弛緩が気になる

女性の方はご存知かもしれませんが、ボトックス注射は表情のシワ取りなど美容関連で使われる治療方法でもあります。A型ボツリヌストキシンはアセチルコリンの分泌抑制だけでなく、注射した際に、神経回路の麻痺や筋肉を弛緩させる効果もあるため、変に意識してしまう方もいます。

デメリット3/「保険が適用されない場合」治療費が高い

あなたは10万円かかるとして、ボトックス注射を受けますか?実は、ボトックス注射は「保険が適用されない場合」は、他の多汗症治療方法よりも圧倒的に治療費が高くなります。もちろんボトックス注射は世界中の国々が認める安全性と効果のある医療行為として多汗症の方々を救ってきました。

多汗症で悩み出す頃は小学生前後の思春期からです。大人でも10万円を払うのは非常に厳しいのに、小学生が気軽に10万円を払うことはできるのでしょうか?娘が脇汗で悩んでいるからといって、すぐに10万円を渡してあげられる母親は一体どれほど日本に存在するのでしょうか?

他のサイトの場合は「ボトックス注射は10万円かかるから高い」としか情報がないため、それを読んだ方は「ボトックス注射は高い」と思い込み拒否反応を示してしまいます。しかし、「場合によって」は必ずしも10万円がかかるわけではありません。

ボトックス注射でも保険は適用されます

ここではボトックス注射における誤認識を解く重要なポイントとなるので、しっかりと理解してください。その前に一つ質問します。

Q.「ボトックス注射は保険が効かないから高い」というのは正しい常識でしょうか?

答えは違います。実は「場合によっては保険が効き」ます。2012年11月以降から保険が適用されて、およそ3万円前後で治療を行うことが可能となっています。2018年現在でもまだ6年も経っていないため、保険が適用されることを知らずに「ボトックス注射は保険が効かないから高い」と決めつけている方が少なくはありません。

ただし、100%保険が適用されるわけではなく、発汗部位は脇のみに限定されること、かつお医者様が「患者は多汗症足りうる状態だ」と診断を下した場合に限ります。下記に各病院で実際に行われている多汗症判断のチェックポイントを記載します。

「病院で行われる多汗症チェックポイント」
★発汗部位は脇汗である
A.発汗状態に対して全く気にならない
B.発汗状態に対して気になるが、あまり日常生活に支障はない
C.発汗状態に対して気になり、しばしば日常生活に支障がある
D.発汗状態に対してとても気になり、常に日常生活に支障がある
1.患者の家族・親戚が多汗症である
2.25歳未満で症状が出ている
3.就寝時に同様の発汗はみられない
4.発汗によって具体的に日常生活に支障が出ている
5.両側性かつ左右対称性に発汗がみられる
6.週1~2回以上の発汗による支障が繰り返される
★かつ、CまたはDに該当かつ、上記6つから2つ以上該当する場合「患者は多汗症足りうる状態」と診断する。

このチェックポイントは実際に病院でチェックされているポイントになります。「脇汗が過剰かつ、あなたは多汗症足りうる状態」と診断されれば、あなたは保険が適用となり3割負担(3万円前後)で済みます。そのため、ボトックス注射を検討されているのであれば、まずは上記のチェックポイントを使ってご自身が本当に多汗症なのか分析することが重要となります。

ボトックス注射に関する疑問点


ここでは、みなさんが気になるその他ボトックス注射に関する5つの疑問について解決していこうと思います。

疑問1/何科で治療してもらえるの?

皮膚科・形成外科・麻酔科・美容外科などになります。ただし、すべての病院でボトックス注射を導入しているわけではありませんので、事前に病院側に問い合わせをしてください。

疑問2/治療の年齢制限はありますか?

特に年齢制限は設けていません。年齢制限がないという条件はETS手術でもイオントフォレーシスでも同じです。

疑問3/妊娠や授乳時でも大丈夫?

絶対にダメとはいえませんが、お医者様に要相談となります。A型ボツリヌストキシンの毒素は抜いているので、胎児への影響は考えにくいのですが、妊娠時と授乳時での検証データがまだほとんどないため、100%安全を保証できないためです。

疑問4/ボトックス注射をやり過ぎると全く効果がなくなるという噂は本当ですか?

全く効果がなくなるというのは誤解ですが、一部は正しいです。理由は人間の免疫機能のうち抗原と抗体の関係に起因します。予防注射で考えるとわかりやすいのですが、予防注射も死滅させたウイルスのタンパク質を体内に注射することで抗体を作り、再度体内に同じタンパク質の形を持ったウイルスが侵入したときに抗体が抵抗します。

同じようにボトックス注射も、A型ボツリヌストキシンの毒素を抜いたタンパク質を使うため、ごくまれにですが体内で抗体が作られてボトックス注射の効果が弱まることがあります。

ただし、正直なところほとんど抗体は作られませんし、効果が弱くなることを感じ取れる患者さんはほぼいません。つまり、気にする必要はありません。

疑問5/以前美容外科でAllergan製じゃなく、別のメーカー製のボトックス注射を受けましたが大丈夫でしょうか?

正直安全性はわかりません。厚生労働省が唯一認可をしているのはAllergan社のみであり、認可をして「取扱ってもいい」一方で、国や医療機関は患者に対して弊害が起こった際は「補償する責任」が問われるということです。

別のメーカーのボトックス注射をした場合、それは国が認めていないものであり、国や医療機関は患者に対して補償をする義務は必ずしも発生することはありません。補償の有無のリスクを考えて、自己責任でお願いします。

まとめ

今回は「多汗症治療におけるボトックス注射の誤解と真実」について、ボトックス注射の歴史や医療現場のチェックポイントなども踏まえてお伝えしてきました。

最初は「ボトックス注射は保険効かないし費用高いし私には無関係」と思っていた方も、蓋を開ければFDAと厚生労働省が認可済みかつ、あれだけ「保険は効かない」と勘違いしていたのに実は2012年11月から保険適用済みの事実で安心できましたか?

ボトックス注射に関してはまだまだ一般常識の中でも誤認識が数多く存在します。他のブログでは「保険は効かない」と記載がありますが、実際は2012年11月以降は条件に当てはまれば保険は効きます。

これは管理人の想像ですが、おそらくですが2012年11月以前の保険適用外の時期に書かれた記事だけを参考にして、ボトックス注射の歴史を追えていないからではと個人的に考えています。

あるいは2012年11月以前にボトックス注射を検討していた多汗症の方が、当時保険適用外だった経験に基づいて、2012年11月以降もボトックス注射を検討している多汗症の方に良かれと思って「保険は効かない」と伝えてしまっている可能性も考えられます。

その場合は、時代が異なるため仕方ないのかもしれませんが、その誤認識を解かない限りは今後も永遠に「ボトックス注射は保険適用外」と伝え継がれることになるのではと危惧しています。

私はボトックス注射について誤認識を解きたい思いと、真剣に多汗症について悩んでいる方々を応援するためにこの記事を書いています。ただ、「ボトックス注射がすごくいいからやればいいよ」と誤解だけは絶対にしないでください。

どんな制汗対策も、手術も、治療方法もすべては汗で悩み、苦しむあなたがしっかりと考え、行動することが何よりも重要です。たまに「ボトックス注射と多汗症手術はどっちを選べばいい?」と私に相談がくることがありますが、どっちを選ぶかはあなたです。

どちらにもメリット、デメリットが存在しますし、患者の状態によっても適すか適さないかは個人個人で全く異なります。数多くある治療方法の内容を一つ一つ正しく知り、考え、試し、学び続け、ご自身に最も適した治療方法を見つけていきましょう。

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プロフィール


はじめまして。当サイトを運営しているまっきーです。

(自称)多汗症コンサルタントとして150名以上のコンサルタント経験を持ちます。

10年以上にのぼる医学知識と検証をもとに、汗と臭いの悩みを解決する情報を発信していきます。

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